湯浅俊彦の本2,800円/3,200円
ISBN、そして日本図書コードの歴史的背景を知るためにはどうしても欠かせない希有な書籍です。
快読ショップYomuparaでは本好きの個人や小さな組織がご自分の蔵書のデータベース構築を実現するために、その環境をご紹介するとともに、そのために使うバーコードリーダの販売を続けてまいりました。おかげさまで数千人のお客様にご利用をいただくまでになりました。バーコードリーダを使うことによって、永年の夢であった蔵書のデータベース化や参考文献のリスト化がようやく実現できたとの喜びのお声もたくさん頂いております。
蔵書データベースを構想し、またその構築をはじめて見ると、どうしても気になってしまうのが、そのためのキーとなっているISBN(と、ISBNを中核に据えた「日本図書コード」体系」)についてより深く知りたくなる、っていうのが人情というものです。現に、私どもにもたくさんのお問い合わせをいただいております。
1980年代に日本の書籍に導入されたISBN。いまやあらゆる本に付されているこのコードのことは、当たり前のようで、つっこんで考察するとよくわからない世界ではないでしょうか。特に導入までの歴史的経緯や導入時に巻き起こった反対運動などは、私たち、一般の読者にはほとんど知られていないと言っていいでしょう。
実は、このあたりに関しての書籍はもちろん、研究そのものもいままでほとんど存在しておりません。ここで紹介する同一著者による2冊の本が、そのほぼ唯一の例外です。
ISBNは日本でなぜ、そしてどのように導入されたのか。そしてそれに反対する運動は、なぜ、どのような理由で展開されたのか。ISBN導入の歴史的経緯をその深部まで明快に私たちに教えてくれるのが、この2冊の本です。
これらの本は「蔵書データベース作成の実際的なノウハウ」を教えてくれるものではありません。これらを読まなくても、何の問題もなく蔵書データベースは構築できます。しかし、そのコードの歴史的背景を詳しく知るには、現時点ではこれらを読むしかないのです。
●「出版流通合理化構想の検証ーISBN導入の歴史的意義」

永年書店人として書店の店頭にたっていた著者が社会人大学院生になり、2005年に修士論文としてまとめたのがこの本です。いままでほぼ先行した研究がなかったISBN導入の歴史的経緯にかかわるはじめてのまとまった論考と言えるでしょう。200ページと、比較的軽量な本なので、ISBN導入の歴史的経緯を概観する(って言ってもとてもディープなんですけどね)には最適の一冊と言えるでしょう。2,800円。Googleブック検索のこのページで内容の一部を立ち読みすることができます。
[内容紹介]
ISBNの役割は何なのか。
1980年代に大論争を巻き起こした「ISBN」(国際標準図書番号)、および「日本図書コード」導入問題を、書誌情報・物流情報のデジタル化というその後の史的展開の前史と位置づけ、これまでほとんど報告されることのなかった、出版社・取次・書店によるさまざまな出版流通合理化の構想と「日本図書コード」導入の関係を、詳細に考察する。
目次
まえがき
●第1章 日本図書コード導入問題研究の背景と動機
1・1 日本図書コード導入問題の概要
1・1・1 日本図書コード管理委員会の発足とその構成
1・1・2 出版流通対策協議会の反対
1・1・3 日本図書コードの定義と概要
1・2 日本図書コード問題研究の不在
1・3 図書館界と出版界の視点の相違
●第2章 日本図書コード導入の経緯
2・1 日本書籍出版協会と出版情報一元化構想
2・2 国立国会図書館のはたした役割
●第3章 日本図書コード導入の意義
3・1 出版流通の円滑化
3・2 資料収集と情報公開の促進
3・3 図書館の総合目録の作成
3・4 図書・印刷カードの発注
3・5 貸出記録の作成
3・6 日本図書コード導入効果と図書館
●第4章 導入反対運動とその根拠
4・1 不透明な委員会設立背景
4・2 中小出版社への差別的取り扱い
4・3 取次支配拡大の危機と書店のコスト負担増
4・4 通商産業省による出版管理と国立国会図書館による出版統制
4・5 図書館利用者の貸出記録管理
4・6 類似する構造と繰り返される論議
●第5章 出版流通合理化への影響
5・1 日本書店組合連合会によるSA構想
5・2 書店のSA化と情報戦略
5・3 出版業界VANの構築
5・4 書籍JANコードの導入問題
5・5 EDIシステムの進展
5・6 取次のFA化と共同倉庫構想の挫折、そして出版SCMへ
●第6章 結論│書誌情報・物流情報のデジタル化前史としての日本図書コード導入問題
あとがき
索引
索引項目
引用文献・参考文献
日本図書コード関連年表
日本図書コード関係文献年表
資料◎01 声明・本の背番号制の強行に反対する
資料◎02 問題点とは何か
資料◎03 申入書
資料◎04『日本書籍総目録』81年版に出稿を拒否します
出版流通の円滑化、情報公開の促進に道を開こうと導入を進める図書館界と、通商産業省による出版管理や国立国会図書館による出版統制を危惧する出版業界。その2者の齟齬、具体的な対立点にも、焦点をあてています。
湯浅俊彦・著
ポット出版・刊
四六版・上製・200ページ
2005年10月5日・発行
●「日本の出版流通における書誌情報・物流情報のデジタル化とその歴史的意義」

こちらは上記「出版流通合理化構想の〜」の続編と言っていいでしょう。376ページと随分分厚くなって読み応えも十分。前著とかぶる部分もありますが、そちらではあまり触れられていなかったISBN導入に対して巻き起こった反対運動の背景が詳述されています。今となってはちょっとわかりにくい「ISBN導入に対してなぜ反対運動があったのか」がわかります。また現場にたちあった方々へのインタビュー部分もたっぷり。より深く知りたい方はこちらもどうぞ。Googleブック検索のこのページで内容の一部を立ち読みすることができます。
[内容紹介]
日本図書コードおよびISBN問題の全体像を再構成し、出版流通における書誌情報・物流情報のデジタル化の歴史的意義を明らかにした、日本の出版流通研究の基礎資料として必携の書。豊富な資料、当時の出版関係者への貴重な証言インタビュー、索引付き。
【収録インタビュー】
北川明氏(第三書館)
高須次郎氏(出版流通対策協議会会長・緑風出版)
木下郁氏(出版流通対策協議会事務局長)
本間広政氏(元・日本出版インフラセンター[JPO])
井上ひさし氏(作家)
池田隆氏(元・出版労連副委員長)
胸永等氏(元・図書館を考える会・主宰)
石塚栄二氏(帝塚山大学名誉教授)
【目次】
第1章 日本図書コードおよびISBN導入問題とは何か
第2章 流対協の日本図書コードおよびISBN表示保留とその解除─日本の出版業界の“南北問題”
第3章 出版流通対策協議会と第2次ISBN論争
第4章 市民運動・労働運動の視点から見た日本図書コードおよびISBN問題
第5章 日本図書コードおよびISBN導入をめぐる図書館界の動向
第6章 電子タグの導入と出版流通合理化
第7章 結論
【資料編】【日本図書コードおよびISBN関係年表】【日本図書コードおよびISBN関係文献表】【参考文献】【索引】
湯浅俊彦・著
ポット出版・刊
四六版・上製・376ページ
2007年12月20日・発行
●著者紹介
湯浅俊彦(ゆあさとしひこ)。1955年大阪府生まれ。永年旭屋書店で書店人とてのキャリアを積んだ後、社会人大学院生となり、大阪市立大学大学院で博士号を取得。現在夙川学院短期大学准教授。日本出版学会理事。


