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ベッドで本を読む
人生最大の愉しみ
ベッドで本を読む。もしかすると、これが人生における最大の愉しみであるのかもしれません。

たしかに、もっと愉しいことは他にたくさんあるでしょうが、若い時から年老いるまで、毎晩のように実行できるという「頻度」という要素を加味すれば、すなわち、愉しみ度数×回数の積では、これにかなうものはそうありますまい。

眠りにつくまえに少しだけ読もうと寝床に持ち込んだ本が面白く、ついつい読みふけってしまう夜もあります。頭の隅では睡眠時間が足りないと明日がつらいだろうとかと惧れないではないのですが、どうしてもやめられない。気がつくと白々と明け始め、目はショボショボするし、肩や腰はバキバキと痛む。そんな経験は「ベッド読書派」の方なら誰しもお持ちでしょう。

しかし、ベッドはもともと本を読むための場所ではありません。必ずしも、読書に最適な場所として考えられているところではないのです。それが証拠にベッドで長時間本を読むと、(さっきも言いましたように)目や肩、腰に大きな負担を与えます。

これはもっぱら姿勢と照明の不具合が原因でありましょう。


ベッドで本を読む姿勢
ベッドで本を読む姿勢は、大別すれば「あおむけ」「よこむけ」「うつぶせ」となります。

「あおむけ」での読書は、腰・肩に対する負担は少ないのですが、いかんせん、本を腕で中空に支え続けなければなりません。軽い文庫本ならまだしも、たかだか数百グラムの単行本であっても、本を支え続けるのは苦行以外のなにものでもありません。軽い本でも、この姿勢での長時間の読書は困難です。この姿勢を続けるには上腕二頭筋その他の不断の筋トレが前提になりましょう。それに、不覚にもうつらうつらしてしまったような時には、唐突に顔に本が落下してくることすらあります。驚愕します。打ち所が悪ければ死に至るかもしれません。体力勝負であるとともに、命がけでもあります。

おそらくベッドでの読書姿勢でもっとも普通なのが「うつぶせ」であろうかと思われます。うつぶせの場合は、本は布団の上に置いておけるため、本を手で支える必要がないためです。

「うつぶせ」読書にはおおむね二つの流儀があります。私はそれを「セイウチ型」と「ビート板型」と名付けております。「セイウチ型」というのは、ハレムの中央で周囲を睥睨するオスセイウチのように、上体を持ち上げた状態での読書です。状態を海老ぞらせ、そこにできた空間の中に本を置きます。

ビート板というには水泳初心者がつかう板です。これを両手で持ち、バタ足することで水泳の練習を行います。同様の姿勢でビート板を本に持ち替えるとそれが「ビート板型」の読書姿勢になります。

両方とも、体の各部に大きな負担をかけ続ける姿勢であることは違いがないようです。 セイウチ型の場合は腰に大きな負担がかかります。ビート板型の場合は必然的に頭を後頭部方向に大きく曲げなければなりません。これは首に負担をかける姿勢です。ですので、どちらの場合においても、長時間続けると、節々に痛みを感じます。

若い時分はそれでもまだいいのです。うつぶせ読書の最大の敵は加齢です。加齢にともなって体力が落ちてくると、セイウチ姿勢ビート板姿勢を維持するのが困難になりますし、腰や首のコリに対しても、若い時よりずっと慎重にならざるをえません。それにくわえて老眼というファクターが加わります。加齢とともにどうしても目の焦点距離が長くなります。これは不可避です。目の焦点距離は20代の頃から徐々に進行していきます。このことについては前に「老眼のメカニズム[デジタル/シゴト/技術]」で書きました。

このため、加齢にともなって、セイウチ型ではよりいっそう海老ぞらせなければならなくなり、ビート板型ではよりいっそう全身をずりさげなくてはならなくなります(ベッドからはみでてしまう)。

私自身、長い長い間、うつぶせ読書を実践してきました。これは振り返って考えると、我が生涯最大の誤謬のひとつと申してさしつかえない。痛恨です。遊牧民クラスの視力を誇る両親の子として生をうけたにもかかわらず強度の近視、あまつさえ乱視であるのは、この悪癖ゆえでありましょうし、なにより、最大の愉しみが中年にさしかかったとたん、年々歳々、どんどん苦行になっていくということに愕然といたしました。やめときゃよかったな、と。

それゆえでありましょうか。中年すぎのベッド読書派の方々に多いのは「よこむき」姿勢であるようです。「あおむき」姿勢を90度横転させた姿勢です。この姿勢にすると、本は片小口を布団面が支えることになるため、腕で持ち上げなければならないということはなくなります。また、肩首腰を不自然に曲げる必要もありません。ただ、文庫本ほどのサイズの本はいいのですが、それ以上のサイズとなると、この姿勢での問題点があきらかになってきます。本を広げた幅と、顔面の幅がちがうということです。

この姿勢では、本の片方の小口と顔の側面が布団面にくっつきます。ゆえに片側のページ面はおおむね片目の正面に位置しますが、逆側のページは、本のサイズによっては、必ずしももう片方のページの正面に正対するわけではありません。つまり、左右のページと目の間の距離が一定ではないのです。これは疲れます。それを防ぐためには、本を少し持ち上げたり、枕でもって頭を持ち上げたりしなければなりません。せっかく「あおむき」における本の保持の問題点、「うつぶせ」における姿勢の不自然さを解消するはずの「よこむき」読書でも、両者の問題点が持ち込まれてしまうわけです。

これは私の極私的な困難であるのかもしれませんが、私はよこむけ読書がほぼ不可能です。というのも私がけっこうな乱視であるからです。もちろん眼鏡がありますから、日常生活にはほとんど不便を感じていません。しかし、眼鏡をはずすと、左右の目で見える像がガチャガチャになりますから、近くのものであっても、両眼視することは不可能です。眼鏡をかけなければ本も読めないのです。眼鏡をかけてよこむき読書をしようとすると、眼鏡のツルが顔面と枕の間で押さえつけられます。耳だとか頬だとか、眼鏡のパッドがあたる鼻とかが痛いのです。眼鏡も変形します。そのうえ、乱視の眼鏡というのは、レンズのきまった位置が目の真ん中の前にないと機能しないため、正しく見ることもできなくなります。枕により、眼鏡の位置がずれますからね。

どうしてもよこむき読書をする場合は、眼鏡を取って片目をつぶらなければなりません。これは極端に疲れてしまう。

ベッドでの読書姿勢はどれをとっても長時間維持するのが難しいということです。だもんで、多くの人は、いろんな姿勢をとっかえひっかえ替えて読み続けておられるのでしょう。

いずれにしても、ベッドでの読書姿勢というのは、根源的な問題点をいくつも抱え込んでいるといって、間違いないでありましょう。


照明の問題
ベッドは寝室にあり、寝室の主務は眠りの提供でありますから、暗くなることが本義です。本来的に暗い場所で本を読むためには、スポットの照明をページ面に当てなければなりません。この照明ってのが、これまた難物です。

局所的に使用する照明を仮に「電気スタンド」と総称してしまうことにしましょう。電気スタンドは多種多様な製品が売られています。しかし、そのほとんどは「机の上において使う」ということが前提に設計されています。スタンドの真下、鉛直方向に光を照射するというのが基本設計です。

しかしこれはベッドでの読書には不適な照明器具であると言わざるをえません。電気スタンドの明かりで本を読むためには、光源−ページ面−目がV字型の位置関係になるように作られていますが、ベッドではどの姿勢をとろうと、この位置関係を作り出すことができません。ベッドでの読書のための照明器具は、通常の電気スタンドを使っている以上、ページ面に垂直に光を当てることが不可能なのです。

そのため、ベッド読書用の照明は、どうしても光量不足に陥りがちです。ホントはもっと明るくあるべきなのに、不十分な明るさしか提供できていないのではないでしょうか。これは目の健康にもいいはずがありません。ここにも加齢問題が顔を出してきます。若い時には想像もしていなかったのですが、加齢ということは、同時に、より明るい照明が必要になるということでもあるのです。老眼というのは、なにも焦点距離が伸びるということだけではなく、明るさを感じ取る能力が減退するということでもあります。

ベッドでの照明にはもうひとつの問題があります。個室で一人で眠る人は別ですが、夫婦で寝室を共にしている場合などは、過度に明るくすると相手に迷惑になるということです。長い時間点灯していると、明るくて眠れやしないと怒られてしまいます。

その場合の照明器具は、ページ面に必要十分な光量を与えることができると同時に、周辺に明るさをまき散らさないという矛盾に似た機能が要求されます。

なかなか難しいわけです。


リクライニングベッドの快楽
誰かが小林秀雄に本を貸し、返ってきた本を開いて叫んだそうです。「偉い! 小林は座って本を読んでいる!」

ページにフケがはさまっていたのですね。ページにフケが落ちるのは、机の前にちゃんとすわって読んでいる証左だというわけです。こう叫んだ人もそうですし、そしてこれがエピソードとして世間に流通していることから考えても、本は寝転んで読むということが前提になっていなければ出てこない発言です。

しかし、実際には本は机で読むのが一番ラクです。読み−書きの為に開発・使用され、長い歴史を閲してきた装置であるから当たり前です。にもかかわらず、われわれがベッドでの読書を愛するのは、「愉しみのための読書」という心理的な側面ゆえでしょう。机に正対して読むと、「仕事・勉強」が連想され、愉しみがそがれるように思うからでありましょう。ニンゲンはなかなか複雑であります。

私の長いベッド読書歴でもっとも快適であったそれは、病院のベッドの上での読書でありました。

0代のはじめに数ヶ月の入院生活を送ったのですが、この時の読書はすこぶる快適でした。惜しむらくは、その期間が病気で体が弱っていたことです。健康な状態で入院すれば最高の読書時間を満喫できたのに、と残念でなりません。点滴の管なども読書の邪魔になりましたしね。

快適の所以は、ベッドがリクライニングベッドであったからでした。リクライニングベッドと言っても、もちろんその時期の公立病院の6人部屋のことでありますから、病院仕様の無骨なもので、リクライニング機構も手動です。起こす時も倒す時も、看護婦さんにクリクリとクランプを廻してもらわなければなりません。

にもかかわらず快適であったのは、椅子に座って読む姿勢と同じ姿勢でありながら、背中全面をベッドでしっかりささえられ、本を置くための移動式の机が付いていたということと、「オフである、アソビである」という心理的な背景があったからでありましょう。

退院直後には、それに味をしめて、自宅でもリクライニングベッドを購入しようかと画策しました。しかし、当時はやはり医療用・介護用のノリの商品しか存在せず、ようやく病院を脱出した身としては、そういうのを購入する気持ちには到底ならなかったため、結局買いませんでした。

最近では介護用じゃないリクライニングベッドも多数販売されています。しかし、現在使っているベッドがあるし、それがまだまだちゃんと使えるので、買い替えがためらわれ、手を出しかねています。

Yomuparaにおいても、ラインナップのひとつに、読書用として最適のリクライニングベッドを加えたい気持ちはあるのですが、自分たちで試していないものは売りたくないですし、また、店としての実力も、このような大型商品を取り扱うには不足しています。これからもみなさまの変わらぬご愛顧をいただき、われわれも精進をつづけて、いつか、これぞ、という読書用リクライニングベッドをご紹介できる日がくることを夢見ています。


読書スタンド
弊店で扱っている商品の中で、ベッドでの読書の最終兵器と呼んで差し支えないのが読書スタンドです。これは、絶大な自信で「いい」と断言できます。

欠点は、デザインが医療器具を思わせるような無骨さであること、寝室に置くにはいささか大仰であることでしょう。初めて見た時には、私自身、そう思いました。これは自分の寝室には置きたくないよなあ、と。

しかし、寝室というのはきわめて私的なスペースです。自分(たち)さえ慣れてしまえば、デザインや見てくれは気にならなくなります。それよりやっぱり機能です。

機能という点では、読書スタンドの実力は絶大です。

寝る姿勢として、もっともラクなのは仰向けであることは論をまちません。仰向けに長くなると、シミジミ楽ではありませんか。長くなって、ちょっと大きめの枕を頭の下に入れます。

この姿勢で目の前に本が開いている。これが読書スタンドです。

読書スタンドは各部をネジで締め付けるようになっています。手回し式のネジですから、締め付けておいても多少は自由に動きます。寝転がる姿勢にあわせて、手でひょいと最適な位置に調整することができます。

私は毎夜使っていますが、不思議なことに、日々最適位置が微妙に違います。読んでいる途中でも、気分で少しずつ動かします。横向きになっても読書スタンドはちゃんと付いてきてくれます。

明かりはアームに付いてますから、どのような位置にしても、ページ面をいつも照らしてくれます。ライトの方向と視線が同じ向きなので、60Wの電球でありながら、きわめて明るく感じます。いままでの読書灯の暗さを痛感してしまいます。

ページ押さえは工夫されていて、分厚い本でも薄い本でも、ちゃんとホールドしてくれますし、ページめくりも数日間の練習で不自由なく取り扱うことができます。

読書スタンドの本質的な欠点は「ついつい夜更かししてしまう」ということに尽きます。これを使うと今までよりベッドでの読書時間が長くなってしまうのです。ベッドでの読書というのは、それまでいかに体力を使っていたのかということがはっきりわかります。読書スタンドを使うと、読書そのものに集中できるのです。


ライトウェッジ
Yomuparaラインナップのベッド読書用品の2番手は「ライトウェッジ」です。

これはその先進性にこそ注目していただきたいアイテムです。厚手の透明アクリル板に取っ手がついたような形状の製品ですが、このアクリル板そのものが光ります。このアクリル板をページの上に直接置いて使います。

いままでのライトは離れた光源から、被写物に光をあて、その反射を目にいれるという構造でした。これは、言ってみればページそのものを光らせるという新方式です。

実用上でのこの製品の最大のメリットは、周りに光を漏らしにくいということです。つまり、寝室を共にする人がいる場合に相手に迷惑をかけにくいということです。

明かりがページ面に密着しているため、光度がそう必要ないということから、周り漏れることが少ないのです。

使っていると、そのユニークな発想に心底感動します。そこんとこが、この商品のウリでしょう。

ただ、実用面から言うと、若干問題がないわけではありません。ページをめくるたびに、ライトウェッジを持ち替えないとなりません。これがちょっと困りごと。しかし、それが唯一の欠点でしょう。

私自身は使う機会が少ないんですが、よく出張に出かける方などには必需品ではないでしょうか。ホテルや飛行機の機内での読書には、他にない快適さをもたらしてくれるでしょう。


マイティブライト
マイティブライトの守備範囲はライトウェッジと重なり合います。クリップでもって表紙にはさみこみますので、ベッドで本を読む際に、どのような姿勢をとっても、いつでも明かりが付いてきてくれます。見た目より、ずいぶん軽いので、表紙にくっつけといても苦になりません。

この商品の欠点は電池駆動ということです。30時間ほどもちますので、かなりヘビィな使用でも数週間は持つでしょうが、電池であるということは少々気がかりです。なんといっても、AC電源に比べると電池はランニングコストがかかります。

実これが少し気になります。

私はこれを常備用の懐中電灯として使っています。我が家は寝室が二階にあり、いままでは寝室にいくのにわざわざ階段や廊下の電灯を点け消ししていました。今は、マイティブライトを点灯して階段を上がっていきます。


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